うして、日本の女性の代表に、外国へいっていただきたい。
ああいうお方が、もう二人ほしいとおもいます。一人は外交官の奥さまに、一人は女優に――和歌をおこのみなさるうちでも、ことに与謝野晶子《よさのあきこ》さんのを――
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歌集『黒髪』に盛られた、晶子さんの奔放な歌風が、ある時代を風靡《ふうび》したころだった。
その晶子さんが、
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京都の人は、ほんとに惜《おし》んでいます。あのお姫さまを、本願寺から失《なく》なすということを、それは惜んでいるようです、まったくお美しい方って、京都が生んだ女性で、日本の代表の美人です。あの方に盛装して巴里《パリー》あたりを歩いていただきたい。
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といわれた。米国《アメリカ》の女詩人が、白百合《しらゆり》に譬《たと》えた詩をつくってあげたこともあるし、そうした概念から、わたしは緋《ひ》ざくらのかたまりのように輝かしく、憂いのない人だとばかり信じていた。もっとも、そのころはそうだったのかもしれない。
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桜ですとも、桜も一重《ひとえ》のではありません。八重の緋ざくらか、
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