西洋の唐茄子
長谷川時雨
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)孫太郎《まごたろ》むし
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一間|巾《はば》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「◯」の中に「十」、屋号を示す記号、231−1]《まるじゅう》芋屋の
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青葉の影を「柳の虫」の呼び声が、細く長く、いき[#「いき」に傍点]な節に流れてゆく。
――孫太郎《まごたろ》むしや、赤蛙《あかがえる》……
ゆっくりとした足どりで、影を踏むように、汚れのない黒の脚絆《きゃはん》と草鞋《わらじ》が動く――小《ち》いさな引出しつきの木箱を肩から小腋《こわき》にかけて、薄藍色の手拭《てぬぐい》を吉原かむりにしている。新道にはまだ片かげがあって打水《うちみず》に地面がしっとりとしている。
――しもたや[#「しもたや」に傍点]のくせに店をもっている家――そうではなかったのかも知れない――閑散な店なのだったのかも知れないが、あんぽんたんはその家の、二間
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