を眺めているといってみんなを困らせた。でも、原っぱのそこかしこに、馬が繋《つな》いであったり、ある場所には象がいたり、かしこい犬がいたり、人間にしても、美くしい白人少女もいれば、黒んぼもいる。その人たちが惜げもなく腕や肩を出して、焚火《たきび》のかがりの廻りにいたり、朝、原っぱを歩いていたりする景色は、とても楽しい生きた画であった。それにこの伯母の家にいると、牛《うし》が淵《ふち》へおたまじゃくしを掬《すく》いにゆけたり、駿河台《するがだい》のニコライ会堂の建築場へもゆけるので、あきなかった。御飯のときにみんなが十字をきるのも私の眼を丸くさせた。
底本:「旧聞日本橋」岩波文庫、岩波書店
1983(昭和58)年8月16日第1刷発行
2000(平成12)年8月17日第6刷発行
底本の親本:「旧聞日本橋」岡倉書房
1935(昭和10)年刊行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:門田裕志
校正:松永正敏
2003年7月4日作成
青空文庫作成ファイル:
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