、粋《いき》な女たちにとりまかれて賑かにゆく人がありますのでね、おやおや、何処《どこ》の大尽《だいじん》かと見ますとね。小《ちい》っぽけな旦那《だんな》で、黒ちりめんの羽織で、お刀がチョコンと突っぱって、その風采《ようす》のみっともなさってったら、あたくしが吹きだしますとね、その人が後を振りむきましたのですよ、どうもあの老爺《おじい》さんに違いないのですが、あたくしもよく似た人があるものだと思って感心いたしましたが……」
クスクスおばあさんは笑った。その結果がふるっている。
「よくまあ、あんな綺麗《きれい》な粋な女が惚《ほ》れたものでございますねえ。」
底本:「旧聞日本橋」岩波文庫、岩波書店
1983(昭和58)年8月16日第1刷発行
2000(平成12)年8月17日第6刷発行
底本の親本:「旧聞日本橋」岡倉書房
1935(昭和10)年刊行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:門田裕志
校正:松永正敏
2003年7月4日作成
青空文庫作成ファイル:
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