源泉小学校
長谷川時雨
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)大伝馬《おおでんま》町
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)黒毛|繻子《じゅす》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)ふくさ[#「ふくさ」に傍点]
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源泉小学校は大伝馬《おおでんま》町の裏にあって、格子戸がはまった普通の家造りで、上って玄関、横に二階をもった座敷と台所。たぶん台所と並んだ玄関の奥へ教場の平屋を建てましたのであろう。玄関の横の八畳には通りにむかって窓があった。ここの畳へ座る人種は我々と違っていた。特別の机が配置してあって、手焙《てあぶ》りが冬は各自《めいめい》についている。窓の下のところには、紙だとうに針山もおいてあった。
お午《ひる》近くなると女中さんや小僧さんがお供《とも》をして、この八畳間の御門弟《ごもんてい》たちがやってくる。お嬢さんたちは、芝居の八百屋お七や油屋《あぶらや》お染だと思えばまあ間違いはない、御大層なのは友禅《ゆうぜん》の座ぶとんを抱えさせてくる。お手習だけしているのもあれば、読《よみ》ものをしにくるのもある。お
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