十位だったかも知れない。お媼さんは先生のことを秋山が秋山がと言った。
翌日からみんなと机をならべるのだった。お昼すこし前になると、おみやげのお菓子を配った。今朝登校のときに松さんがもって来た大袋四ツが持出されて、うまい具合に分配されてゆくのだった。世話やきの子供が幾人かで、全校の生徒の机の上に、落雁《らくがん》を一個二個ずつ配ると、こんどは巻せんべを添えて廻る。その次は瓦煎餅《かわらせんべ》という具合にして撒《ま》ききるのだ。
母の覚え書きがあるから記しておこう。
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於保《おやす》手習《てならい》初メ
金五十銭に砂糖折
外《ほか》に子供衆へ菓子五十銭分。
そのほか覚。
一月年玉分 五十銭
七月盆 礼 五十銭
試験 七十銭
月謝 三十銭
年暮 玉子折
年玉 五十銭
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外に暑寒
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なんと安価なものではないか。しかし、お豆腐は一丁五|厘《りん》であったのを、お豆腐やの前で読んだから知っている。お米のねだんは知らないから書くことが出来ない。
試験が割合にかか
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