打ちながら、わたくしは、ふと何か、暗示といふほどでもないが、思ひあたるものがあつた。
原始的なきるものは、そんなところにもある、それで手を出して、胴をくくれば、今日の言葉でいふ簡単服の型になる。
随筆集に「きもの」といふ題を不用意につけてしまつたが、きものとは、たけだけしいと考へてしまつた。「きもの」といふ名のもつ広さ、大きさ、強さは、もつと/\本質的に研究したものへつける題であつたと、虫の音く夜ごろの涼しさなのに、汗ばんだ。
[#地から1字上げ]――昭和十四年九月十日夜――
底本:「日本の名随筆 別巻58 着物」作品社
1995(平成7)年12月25日第1刷発行
2000(平成12)年4月10日第2刷発行
底本の親本:「随筆・きもの」実業之日本社
1939(昭和14)年10月第1刷発行
入力:門田裕志
校正:小林繁雄
2003年9月5日作成
青空文庫作成ファイル:
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