クワでは、十日間に廿二囘の觀劇よ、好い機會だから是非見ておいてください。あたしたち隨分ぼんやりして生《いき》てしまつたんだから。アメリカへも一緒に行けると好いんだけれど――」
若いとき、曾我の家五郎十郎劇を見てきて、二人で眞似て興じたときの、五郎の役に、及五郎に扮した友達が、自分でもをかしくつて、キユウキユウ笑ひ泣きしながら演じた無邪氣さが眼に來た。みんなで寄《よ》つて、あんな笑ひを寫したらいいな――
再び、わたしは笑つてゐるやうな聲を出した。
[#地から2字上げ](「早稻田文學」昭和九年九月號)
底本:「桃」中央公論社
1939(昭和14)年2月10日発行
初出:「早稻田文學 昭和九年九月號」
1934(昭和9)年9月
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:門田裕志
校正:仙酔ゑびす
2008年12月7日作成
青空文庫作成ファイル:
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