と余り変らないが、夜が冷える。
(稲垣浩 宛)
(三)[#「(三)」は縦中横] (村長、村会を開き村民どもを集めよ)雨が滅多に降らないから空が澄み渡ッて綺麗である。朝、雁の渡るのを見る。お行儀よく並んで飛ンで行った。
名将八幡太郎といえども枕を高くしてよい風景である。そこで我勇敢なる大原隊は来るべき
(八尋不二 宛)
(四)[#「(四)」は縦中横] 戦に備えて日毎演習を行ッている。
ボクも専ら童心にかえッて戦争ごッこに精を出している。米が少ないので毎日芋を喰わされる。三度々々芋である。兵隊はしきりにクサイ大砲を放ツ。
酒は昨日一人四勺ほど(つまり寝てる子
(三村伸太郎 宛)
(五)[#「(五)」は縦中横] を起こすほど)貰った。
露村を後退して又石家荘から汽車で運ばれる事になッた。上海行だとも言うし又青島と言う噂もあるかと思うと確かに北満じゃとぬかす奴もある。丁と出ますか半と出ますかおあとはライシュウ。
(滝沢英輔 宛)
うだる暑さに閉口。
其の後○○の野戦病院に来ている。熱は平熱となったが腹工合は依然悪く、まだ血便が少し出る。トタンに汚ない話で失礼。
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