其処から覗くのである。
 敬四郎その通りやり出す。右門その間に立ち上って去る。
 敬四郎下を見ると、

52=お類の室
 和尚お類を口説いて居ります。
T「仏様が御決めなされたのじゃ」
 と云って、
T「拒むと罰が当りますぞ、罰が」
 と様々の手練手管を用いて居ります。

53=密室
 二階の敬四郎センセイ、
 「此奴は面白い」
 と大喜び。

54=玄関
 右門下りて来て門前に待たせてある伝六に合図する。

55=密室
 敬四郎今度は右門の去った後を覗くと、

56=おふみの室
 おふみに挑みかかる覆面の太郎左衛門、小柄で額を切られてアッとのけぞる。おふみ、室中の物を太郎左衛門に投げつける。

57=密室
 敬四郎この大活劇にすっかり有頂天で悦にいる。隣の奴に、
T「此処が面白う御座るぞ」
T「では交代致そう」
 で今度は隣を覗く。そこは、

58=お兼の室
 お兼が盛んに伊吉を口説く。
T「拒むと罰が当りますぞ」

59=二階
 敬四郎お兼とは知らずに大喜びで見て居ます。
 処が、お兼が此方を向いた。敬四郎、
 「アレッ」
 と驚く。
 「家内じゃ、女房じゃ」
 で慌て出した
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