の間の奴は、
T「あの侍ですよ旦那」
 右門お内儀を呼びとめて、
 十手を示して、
T「明日の晩どうかしたんですか」
 お内儀「いいえ」
T「其処のお寺で結構なお説教が御座います」
 と言ってお内儀は家の中へ――
 伝六、右門に、
T「あのお寺ですよ旦那」
 と言う。
                  (F・O)

28=(F・I)例の生島屋附近
 伊吉とお類のラブシーン。
T「そのお寺へ」
 お類が言った。
T「夜更けてこッそりお詣りすると」
T「必ッと願いが叶うんですッて」
 「そんな馬鹿な事」
 伊吉は信じない。
T「いいえ本当よ」
 とお類は真剣。ねえ、
T「今夜お詣りしない事」
 伊吉は気が進まなかったけれど仕方なく承知する。
 お類が、
T「今の話、人に喋ると罰が当るのよ」
 と言った。
                  (F・O)

29=(F・I)例の茶店で
 おふみさんが伝六に話して居る。
T「そのお寺へ」
 矢張り例の寺の話です。
T「あたし今夜お詣りするの」
 「お前がッ」
 おふみ、
T「兄さんとお類さんが是非一緒に来いッて言うんだもの」
 伝六が――
T「
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