ー一層広い階級否な階級的区別なき一般民衆の守るべき道こそ国の道徳でなくてはなるまい」に白丸傍点]。また国際聯盟なんか力説される世の中に[#「また国際聯盟なんか力説される世の中に」に白丸傍点]、武に重きを置く道徳は通用が甚だ狭い[#「武に重きを置く道徳は通用が甚だ狭い」に白丸傍点]。また仮りに国際聯盟が出来ないにしても武に重きを置かんとするよりは、平和を理想としかつ平和を常態とするが至当であろう。しかのみならず先に言う如く士は今日階級としてはない、昔の如く「花は桜木、人は武士」と謳《うた》った時代は過ぎ去って、武士を理想あるいは標準とする道徳もこれまた時世後《じせいおく》れであろう。それよりは民を根拠とし標準とし、これに重きを置いて政治も道徳も行う時代が今日まさに到来した、故に武[#「武」に白丸傍点]に対して平和[#「平和」に白丸傍点]、士[#「士」に白丸傍点]に対して民[#「民」に白丸傍点]と、人の考がモット広くかつ穏かになりつつあることを察すれば、今後は武士[#「武士」に白丸傍点]道よりも平民[#「平民」に白丸傍点]道を主張するこそ時を得たものと思う。
[#5字下げ]平民道は武士道
前へ
次へ
全13ページ中4ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
新渡戸 稲造 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング