平民道
新渡戸稲造

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)先達《せんだって》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)万民|普《あまね》く

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#5字下げ]渡米船上の感激[#「渡米船上の感激」は中見出し]
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[#5字下げ]渡米船上の感激[#「渡米船上の感激」は中見出し]

 先達《せんだって》中本誌の余白を借りてデモクラシーに関して一言するところがあった。今回計らずもデモクラシーの本家本元なる米国に渡るを好機会として、自分の述べた事が他人の、ことに先輩の説くところとどれほど符合するか、また背馳《はいち》するかを見たい心掛である。
 横浜を出帆する際、親類を見送りに来られた文学博士遠藤隆吉君に甲板上で遇うたら、同君が『社会及国体研究録』の第一号を手渡しつつ「デモクラシーは国体と相反するような考を抱く人があるので誠に嘆かわしいから、今度このような研究録を出して大《おおい》に世の惑《まどい》を釈《と》こう」といわれた。この一言は深く吾輩を感激せしめた。僕は同君には日頃親しみはないけれども、
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