に在る者には愛せられて、常に威厳を保ち、上に在る者には丁重にして、決して自信を失わず。されど彼らの紳士的態度の皮下には、柔和なるよりも寧ろ多くの厳格なるものを有し、彼らの親切には、同情よりも寧ろ多くの自覚的謙譲あり。彼らの至高なる精神的態度は、愛情よりも寧ろ多くの憐愍《れんびん》を示す。彼らは汝に語るに親切聡明なる事物を以てし、汝はその意を解し、その語を記憶す。されど彼らの声は汝らの裏《うち》に生きて存留せず。彼らの汝を見るや、汝はその眼光の透徹なるに驚く。されど彼らの眼の鮮光は、彼らの汝を去ると共に消ゆ。
汝は峻険|崎嶇《きく》たる山径を攀《よ》じ、至高の地帯に登りて、武士の最高なる者を見んとする乎。此処《ここ》に在りては、汝を迎うるに、頗《すこぶ》る柔和なる民族の毫も軍人的ならず、その容貌態度殆ど婦人に類するものあり。汝は彼らを見て武夫なるや否やを疑わんとす。汝は一見以て彼らを凡人視することもあらん。彼らは尊大ならず。汝は容易に彼らに近づくを得べく、彼らの親《したし》み易《やす》きが故に、狎《な》れ易しとなさん。されど汝は近づかざらんとするも能わざるが故に、彼らに接し来ることなる
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