で、これは著しい放射性の元素であるということでも書いてあったなら、それを平易に説いて聞かせ、なお挿画《さしえ》でもあれば見せて皆で楽しむようにしたい。その間に子供は学問の趣味を味《あじわ》うのであるが、今日のところではその教え方を無理に難かしくしている。即ち小学校などでは儀式的に教育するから、子供があちらを向いているのを、こちらへ向かせる真の教育の趣旨に適《かな》うまいと思う。前にいう通り育[#「育」に丸傍点]の字は肉[#「肉」に白丸傍点]の字の上に、子供の子[#「子」に白丸傍点]が転倒しているのであるから、その子供の向き方を変更させるのには大いに手加減がいる。その手加減を過《あや》まれば教育の方が転倒してしまう。願くは教育は面白いものであるという観念を持たせ、道楽に学問をする人の増加するようにありたいものだ。
第三[#「第三」に白丸傍点]の目的は、道楽とやや関聯している、やや類似していると思うが、少し違うので即ち装飾のために学問をすることで、これも則を越えない程度で、目的としたら宜いと思う。教育を飾りにする、これはちょっと聞くと甚だおかしい。なるほどこれは過ぎるといかぬ。総じて物は
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