教育の目的
新渡戸稲造
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)独逸《ドイツ》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)近来|亜米利加《アメリカ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)教育[#「教育」に丸傍点]
[#…]:返り点
(例)可[#三]以濯[#二]吾纓[#一]
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今日世界各国の人の学問の目的とする所には種々あるが、普通一般最も広く世界に行われている目的は、各自の職業に能く上達するにある。マア職業教育とでも言おうか。あるいはモウ一層狭くいうと、実業教育というのが、能くその趣意を貫いているようである。子弟を教育するその目的は、先ず十中の七、八まで職業を求むるに在る。殊に日本に於いては職業を得るために教育を受くる者が多い、百中の九十九まではそうかと思われる。昔はどうであったか知らぬが、近頃は各国共にこの目的を以て、教育の大目的としているようである、殊に独逸《ドイツ》などでは、最もそういう風である。
近来|亜米利加《アメリカ》の教育法はどうであるか。亜米利加は何のために大いに普通教育を盛んにしているかという
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