あるいは何々教師の免状を取れば、これくらいの月給に有り付くというので、先ず算盤《そろばん》をせせくって、計算した上で教育する。これは職業を求むるためなのである。否職業を求むるというよりも、位地を求むるためなのである。
これに類して独逸の教育法も、職業教育とか実業教育とかを主とするのである。独逸語のヴィルトシャフトリッヘ、アインハイト(Wirtschaftliche Einheit)、英語のエコノミック、ユニット(Economic Unit)、即ち「経済上の単位」を能く有効にしようというのが目的である。即ち一国一市をして、なるたけ生産的に発達せしむるには、どうしたら宜《よ》いか、如何にせば最も国家経済のためになるかと、経済から割出した議論を立てて来ると、いわゆる社会経済とか国家経済とかいって、国の生産を興さねばならぬということになる。殖産を盛んにしたならば、即ちその国その市の発達が一番に能く出来る、それがためには、先ず経済的の単位として子弟の教育をするに帰着する。ちょっと仏蘭西に似ているようではあるけれども、独逸のは子弟を職業に進めるのであり、仏蘭西のはその実位地を求めさすためである。
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