を招待したいと思うけれども、とても出来ぬ。そこで一夕僅に親族だけを芝浦の某亭(名を忘れた)に案内して小賀宴を開いた。これも旧藩主久松伯爵家の家令で居る弟の克家が多くの幇助をしてくれたことであった。
 私の晩年の思い出は、まずこの古稀の祝賀会であって、その後は別に話す事もない。また私は前途なんの企画する事もなく、ただ担当している多くの俳事を、その日その日と弁じているが、つい生き延びて本年は七十六歳となった。老年に比較して精神だけは頗る健全だが、身体の方は漸々と衰弱して殊に寒気には閉口する。幸に去年からそれを凌いで来て、これからは、いわゆる小寒大寒を凌がねばならぬ。果して凌げるかどうかは神ならぬ私は全く知らないのである。
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   附録 鳴雪俳句抄録
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  新年の部

元日や一系の天子不二の山
六日はや睦月は古りぬ雨と風
朝拝や春は曙一の人
輪飾や吾は借家の第一号
輪飾の低うかゝりし戸口かな
打ちつれて夜の年賀や婿娘
万歳や古き千代田の門柱
万歳の鼓を炙る竈かな
妻猿の舞はですねたる一日かな
春駒や美人もすなる物貰ひ
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