如く紙幣と正貨との差が僅かで済んだのは士民の幸福であった。しかし前にもいった昨年の大改革で、平均禄をしたのは随分思い切った処置で、この事は一般の士族に大いなる迷惑をさせたのである。聞けば、他の藩々では幾等かに分って禄制を定めた所が多い。就中薩州とか長州とか、その他重なる勤王藩では、少しも禄制を変じていなかったそうだ。それもそのはず、朝廷では外国に対する国力を養うには、是非とも封建を改めて郡県にせねばならぬという、内々の評議で、それが漏れていたから、藩限りに士族を困らせるような改革はせなかったのである。しかるに、私どもは少しもこれら内議を知らず、まだ藩は永く存置せらるるものと信じ、その藩力を養うためには、士族の禄を減少し、文武の諸政を振興するのが、かつて朝敵となった恥辱を雪ぎ、また時世に応ずる朝廷への報効だと思っていたのである。
 いよいよ四年の七月に朝廷から廃藩置県という御沙汰があった。そこでわれわれは喫驚して、右等改革もその効果を見ることの出来ぬのを遺憾としたが、元来われわれには例の開化主義であるから、日本の国勢においては、廃藩置県は適当であると思って、この上は自分らの企画が無駄にな
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