格を奪われて、平民扱いにされていたのである。この人は以前の藩の例では死刑を免れぬのであったが、その頃朝廷から新律綱領が頒布されたので、贋金等も百両以下は死刑に処せぬ事となって、この某も何年かの徒刑で済んだ。
このついでにいって置くが、他の藩々でも多くはそうだが、私の藩でも久しき以前より紙幣を発行していた。これは銀札と銭札との二種があって、銀札は何の都合であったか余り世間には行われないで、もっぱら銭札が行われていた。銭札で大きなのは百|匁《もんめ》、五十匁、それから十匁、五匁、一匁、五分、三分、二分までがあって、その銭の額やその他の文字の外、七福神とか、鯉の滝登りとかが描いてあった。そうして百匁が六貫文であるから、十匁は六百文、一匁は六十文という定めであった。勿論銭の代りに発行する訳だから、いつでも銭に引換えて遣らねばならぬのだが、藩の威勢と、人民の信用とで必要がなくては、それをせない。必要とは士民誰れに限らず、藩外へ旅行する時と、商人が物貨を藩外で仕込む時とである。この時は御掛屋という役所が立っていて、そこで引換をする。尤も銭のみでなく、金銀をも渡した。こんな事で、何時必要があれば兌
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