+囘」、第4水準2−12−11]と樹木

輪※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]の暦をかぞへてみれば
わたしの過去は魚でもない 猫でもない 花でもない
さうして草木の祭祀に捧げる 器物《うつは》や瓦の類でもない
金でもなく 蟲でもなく 隕石でもなく 鹿でもない
ああ ただひろびろとしてゐる無限の「時」の哀傷よ。
わたしのはてない生涯《らいふ》を追うて
どこにこの因果の車を※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]して行かう!
とりとめもない意志の惱みが あとからあとからとやつてくるではないか。
なんたるあいせつの笛の音《ね》だらう
鬼のやうなものがゐて木の間で吹いてる。
まるでしかたのない夕暮れになつてしまつた
燈火《ともしび》をともして窓からみれば
青草むらの中にべらべら[#「べらべら」に傍点]と燃える提灯がある。
風もなく
星宿のめぐりもしづかに美しい夜《よる》ではないか。
ひつそりと魂の祕密をみれば
わたしの轉生はみじめな乞食で
星でもなく 犀でもなく 毛衣《けごろも》をきた聖人の類でもありはしない。
宇宙はくるくるとまはつてゐて
永世輪※[#「廴+囘」、第4水準2−12−
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