くにつかれきつて
白砂の上にながながとあふむきに倒れてゐよう。
さうして色の黒い娘たちと
あてもない情熱の戀でもさがしに行かう。
大砲を撃つ
わたしはびらびらした外套をきて
草むらの中から大砲を曳きだしてゐる。
なにを撃たうといふでもない
わたしのはらわた[#「はらわた」に傍点]のなかに火藥をつめ
ひきがへるのやうにむつくり[#「むつくり」に傍点]とふくれてゐよう。
さうしてほら貝みたいな瞳《め》だまをひらき
まつ青な顏をして
かうばうたる海や陸地をながめてゐるのさ。
この邊の奴らにつきあひもなく
どうせろくでもない 貝肉の化物ぐらゐに見えるだらうよ。
のらくら息子のわたしの部屋には
春さきののどかな光もささず
陰鬱な寢床のなかにごろごろ[#「ごろごろ」に傍点]とねころんでゐる。
わたしを罵りわらふ世間のこゑこゑ
だれひとりきて慰さめてくれるものもなく
やさしい婦人《をんな》のうたごゑもきこえはしない。
それゆゑわたしの瞳《め》玉はますますひらいて
へんにとうめい[#「とうめい」に傍点]なる硝子玉になつてしまつた。
なにを喰べようといふでもない
妄想のはらわたに火藥をつめこみ
さびしい野原に古ぼけた大砲を曳きずりだして
どおぼん! どおぼん! とうつてゐようよ。
海豹
わたしは遠い田舍の方から
海豹《あざらし》のやうに來たものです。
わたしの國では麥が實り
田畑《たはた》がいちめんにつながつてゐる。
どこをほつつき歩いたところで
猫の子いつぴき居るのでない。
ひようひようといふ風にふかれて
野山で口笛を吹いてる私だ
なんたる哀せつの生活だらう。
※[#「木+無」、第3水準1−86−12]《ぶな》や楡《にれ》の木にも別れをつげ
それから毛布《けつと》に荷物をくるんで
わたしはぼんやりと出かけてきた。
うすく櫻の花の咲くころ
都會の白つぽい道路の上を
わたしの人力車が走つて行く。
さうしてパノラマ館の塔の上には
ぺんぺんとする小旗を掲げ
圓頂塔《どうむ》や煙突の屋根をこえて
さうめいに晴れた青空をみた。
ああ 人生はどこを向いても
いちめんに麥のながれるやうで
遠く田舍のさびしさがつづいてゐる。
どこにもこれといふ仕事がなく
つかれた無職者《むしよくもの》のひもじさから
きたない公園のベンチに坐つて
わたしは海豹《あざらし》のやうに嘆息した。
猫の
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