蝶を夢む
萩原朔太郎

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)翼《はね》を

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)南無童貞|麻利亞《まりや》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]
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  詩集の始に

 この詩集には、詩六十篇を納めてある。内十六篇を除いて、他はすべて既刊詩集にないところの、單行本として始めての新版である。
 この詩集は「前篇」と「後篇」の二部に別かれる。前篇は第二詩集「青猫」の選にもれた詩をあつめたもの、後篇は第一詩集「月に吠える」の拾遺と見るべきである。即ち前篇は比較的新しく後篇は最も舊作に屬する。
 要するにこの詩集は私の拾遺詩集[#「拾遺詩集」に白丸傍点]である。しかしながらそのことは、必しも内容の無良心や低劣を意味しない。既刊詩集の「選にもれた」のは、むしろ他の別の原因――たとへば他の詩風との不調和や、同想の類似があつて重複するためや、特にその編纂に際して詩稿を失つて居た爲や
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