散文詩・詩的散文
萩原朔太郎

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)硝子玉《がらすだま》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)下|品《ぼん》の感傷とは、

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「えんにょう+囘」、第4水準2−12−11]
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 SENTIMENTALISM

 センチメンタリズムの極致は、ゴーガンだ、ゴツホだ、ビアゼレだ、グリークだ、狂氣だ、ラヂウムだ、螢だ、太陽だ、奇蹟だ、耶蘇だ、死だ。

 死んで見給へ、屍蝋の光る指先から、お前の至純な靈が發散する。その時、お前は、ほんたうに OMEGA の、青白い感傷の瞳を、見ることが出來る。それがおまへの、ほんたうの、人格であつた。

 なにものもない。宇宙の『權威』は、人間の感傷以外になにものもない。

 手を磨け、手を磨け、手は人間の唯一の感電體である。自分の手から、電光が放射しなければ、うそ[#「うそ」に傍点]だ。

 幼兒が神になる。

 幼兒は眞實[#「眞實」に白丸傍
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