点]であり、神は純一至高の感傷[#「感傷」に白丸傍点]である、神の感傷は玲瓏晶玉の如くに透純である。神は理想である、人は神になるまへに硝子玉《がらすだま》の如く白熱されねばならない。
眞實[#「眞實」に白丸傍点]は實體である[#「は實體である」に傍点]、感傷[#「感傷」に白丸傍点]は光である[#「は光である」に傍点]。
幼兒の手が磨かれるときに、琥珀が生れる。彼は眞珠となる。そして昇天する。
實體の瓦石は、磨いても光らない。
實體の瓦石とは、生れながらの成人《おとな》である。パリサイの學徒である。眞實のない製詩職工である。
涙の貴重さを知らないものに眞實はない。
哲人は詩人と明らかに區別される。彼は、最もよく神を知つて居ると自負するところの、人間である。然も實際は、最もよく神を知らない、人間である。彼は偉大である、けれども決して神を見たことがない。
神を見るものは幼兒より外にない。
神とは『詩』である。
哲學[#「哲學」に白丸傍点]は、概念である、思想である、形である。
詩[#「詩」に白丸傍点]は、光である、リズムである、感傷である。生命そのものである。
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