して一念さんちまんたりずむ[#「さんちまんたりずむ」に傍点]を頌榮せよ。
蓋し、明日炎天に於て斷食苦行するものはその新發意、道心のみ、もとより十字架にかかる所以のものは我れの涅槃に至ればなり。亞眠。
[#地から5字上げ]―人魚詩社信條―
光の説
光は人間にある
光は太陽にある
光は金屬にある
光は魚鳥にある
光は螢にある
光は幽靈の手にもある。
幽靈の手は鋼鐵製《はがね》である、鋭どくたたけばかんかと音がする。
幽靈の手は我の手だ、我の手を描くものは、幽靈の手を描くものだ。然も幽靈を見るものは尠ない。
幽靈とは幻影である、あやまちなき光の反照である。
幽靈は實在である、妄想ではない。
夢を見ないものは夢の眞實を信じない。
幽靈を見ないものは幽靈の眞實を理解しない。
光は『形』でなくて『命』である。概念でなくてリズムである。光は音波でもある、熱でもある、ええてる[#「ええてる」に傍点]でもある。所詮、光は理解でなくて感知である。
光とは詩である[#「光とは詩である」に傍点]。
詩の本體はセンチメンタリズムである。
光は色の急速に旋※[#「えんにょう+囘」、第4水準2
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