実体である。すくなくとも詩的精神の基調なくして、人間生活の意義は感じられない。それは生活をして生活たらしめ、人間をして人間たらしめ、真や善や美やの高貴に心を向わせるところの、実のヒューマニチイ(人間良心)の本源である。然《しか》り――、詩的精神の本質は実にヒューマニチイである[#「詩的精神の本質は実にヒューマニチイである」に丸傍点]。
しかしながら吾人は、言語の使用について注意しよう。詩という言語を拡大して、こんな風にまで広茫《こうぼう》とひろげて行ったら、遂に詩の外延は無限に達し、内容のない空無の中でノンセンスとして消滅せねばならないだろう。言語はすべて比較であり、他との関係に於てのみ意味をもつから、詩という言語が正しく言われる範囲に於て、他との関係を切ってしまおう。換言すれば我々は、他のより[#「より」に丸傍点]客観的なるものに対してより[#「より」に丸傍点]主観的なるものを指摘し、その狭い範囲でのみ、詩という言語を限定しよう。すくなくとも第一に、先ず科学を詩の範囲から逐《お》い出してしまおう。次に或る種の哲学――デカルトやヘーゲル――を拒絶しよう。なぜならこれ等のものは、詩とい
前へ
次へ
全334ページ中99ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
萩原 朔太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング