決定的な解答をしてしまおう。
そもそも詩とは何だろうか。広い意味に於て、自然や人生の到るところに観念されてる、一種不思議な「詩」という言葉は何だろうか。吾人はあえてそれを不思議と言う。なぜならこの言葉は、常に多くの人々によって使用され、到るところに思惟《しい》されているにかかわらず、一も判然とした定義がなく、どこか正体が不明であり、捉《とら》えどころのない靄《もや》の中で、曖昧《あいまい》漠然としているからである。吾人はこの不思議を解明して、詩の本質する定義を確立せねばならないのだ。
第一に解ってることは、この意味の詩が形式上の詩でなくして、詩という文芸が本質しているところの、普遍の本体上の精神、即ち「詩的精神」を指していることである。そこでこの問題を解決するため、あらゆる一般の場合について、人々が普通に考えている詩的精神、即ち所謂《いわゆる》「詩的」の何事たるかを調べてみよう。もし多数の場合について、それが観念されてる例証を見、すべてに共通する本質を取ってみれば、意外に造作なく、吾人は詩の定義に到達することができるであろう。但しこの場合に於ては、一方に詩的精神の反対のもの、即ち世
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