冷酷な真実《レアール》を暴露させようとするところの、反主観への逆説である。故に彼等の作品は、常に人生に対して憎悪《ぞうお》し、意地|悪《あ》しき冷酷の眼を以て、社会の「真実」を見ぬこうとする熱意に燃えている。かの自然主義の一派が、常に「科学の如く」と言った意味も、実にこの同じ精神を語っている。即ち科学的唯物観の没人情と、鉄石のように冷酷な観察眼とで、あらゆる真実をひっぺがしてやろうとする深い敵意が、言語それ自体の語韻の中に含まれている。
これに反して、日本の文壇にあった自然主義や、その他のレアリズムに属する文学は、本質的に「人の好い文学」であり、単に客観のために客観し、有る世界を有る現状で見ようとするので、何等主観上に於ける哲学がなく、したがって人生に対する挑戦《ちょうせん》がない。彼等は単にお人好しの小説家で、真実を見ぬこうとする意地悪さもなく、科学的なる残忍さも持っていない。彼等が描こうとする世界は、現実を現実として享楽し、趣味の訓練によって生きて行こうとするところの、茶道的、風流的なる東洋の生活で、本質に於て全く俳句と一致している。故に日本自然派小説の典型であり、その最も優秀な
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