一つの越えがたい国境から、地球は永遠に対立している。何故《なにゆえ》に我々は、いつまでも此処《ここ》に留まり、国境を越えて行くことができないのか。太陽は照り、氷山は流れている。時は既に正午の線を過ぎたけれども、万象は死んで動かず、地上に一の新しい変化もない。永遠に、永遠に、東のものは東を向き、西のものは西を向いている。いかなれば世界の景色は、かくも単調にうら悲しく、よそよそ[#「よそよそ」に傍点]しげに見えるのだろう。

 しかしながら我々は、既にこの単調から鬱屈《うっくつ》している。今や眠れるものの上に、新しき欲情は呼び起され、世界の変化は近づいている。実に吾人《ごじん》が求めるものは、詩に、文学に、芸術に、文明に、すべてに国境を越えて行こうとする、東からの若い精神である。しかもこの「東方の巡礼」は、既に幾度か出発し、西にあこがれて行き、そして国境のあたりをさまよい、空《むな》しくまた家に帰って来た。幾組も幾組も、同じ巡礼の一団が、後から後から出かけて行き、空しく皆道に迷って帰ってきた。かくて永久に、日本は昔ながらの日本であり、地上に一の新しき変化も起っていない。退屈なるかな! 何故
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