発であり、正に文学上に於ける権力感情の高唱だった。
 されば自然派の文学論は、それの散文様式の底に於て常にクラシズム――形式のないクラシズム――を精神していた。換言すれば彼等は本質的にがっしり[#「がっしり」に傍点]とした、大地を堅く蹈みつけている、或る力の強い、現実感のある文学を要求した。そして彼等は、何よりも浪漫派の女らしい、涙っぽい、ぐにゃぐにゃ[#「ぐにゃぐにゃ」に傍点]した自由主義の精神と、その甘たるくメロディアスな美を悪《にく》んだ。故《ゆえ》に自然派の文学論が、浪漫派に対して言うところは、常に次のような非難だった。曰《いわ》く、「足が大地を離れている」「腰がふらついている」「浮薄な陶酔に溺《おぼ》れている」等。そして彼等自身は、正に「大地を蹈んでしっかり[#「しっかり」に傍点]と立つ」ところの、骨骼のがっしり[#「がっしり」に傍点]したレアリズムの文学を以て任じていた。
 かく自然派の意志したものは、明らかに浪漫派への反動であり、リリカルな情緒に対する、エピカルな権力感情の反抗だった。故に倫理感の上に於ても、彼等は浪漫派に反対して、愛や人道やの女性化主義《フェミニズム》を
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