非常歎願書
田中正造

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    非常歎願書

[#地から3字上げ]栃木県下都賀郡谷中村民
吾等の現住せる谷中村ハ今や奸悪なる買収の毒手ニ罹りて瀕死の境に彷徨しつゝあり。吾等茲に聊か従来の実情及現在の状態を開陳して非常歎願を敢てするの理由を言明せんと欲す。希くハ微衷を諒せられんことを。
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一、抑谷中村ハ古来天産に富み関東中其比を見ざる豊饒の沃土なり。二十年来鉱毒のために戸口漸々減少せしと雖も、現在尚ほ三百九十六の戸数と二千五百の人口とを有し全村の総価格一千五百万円以上に達せり。若し唯一の堤防修築を怠らざれバ前途洋々として頗る多望なるものあり。然るに此豊饒なる一美村ハ之を羨望するものゝ私慾を恣にせんがために当路の有司をして陰険なる策略を弄せしむるに至り、名を修築工事ニ借りて却て堤防を毀損崩壊して脆弱ならしめ、波除けの柳
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