一縣下で群馬縣も多少此例がある、埼玉縣にも茨城縣にも此例があると御承知を願つて置きたい、それで政府は國會議員の忠告或は社會主義者の忠告、種々なるものが幾らか耳に入つて、大に悔る所があつて、此山へ木を植へると云ふことを始めた、山へ木を植へると云ふと百年經てば河が荒れなくなる、だから兎に角山へ木を植へると云ふことは惡いことではない、しなければならぬ仕事である、之は一體徳川時代にも斯う云ふことがあつた、矢張百八年目になつて居る、古川市兵衞と安生に拂下げたのは百八年目になつて居る、矢張木を植へることをやつた、木を植へると云ふことが去る三十年の年に九萬六千本を植へた、九千六百圓で拂下げて――九萬六千本の臼のやうな木を九千六百圓で拂下げて、其跡へ斯んな小指のような苗木を植へるのが九萬六千圓、九萬六千圓で何程の部分に植つたかと云ふと七千六百町の中百町も植はらない、到底七千六百町の中へ植へるのには九萬や十萬の金では仕樣がないと云ふので抛棄して置いたが、餘程の奮發と見へて六十八萬圓と云ふ代價の原案が出て帝國議會で植へることになりました、こゝ等が一寸御記憶を願ひたい、惡いことでない、善い方のことで、前の惡
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