其物を取らなければならぬと云ふことはない、貸して上げると云つたら宜しく、借りたものでは水が飮めぬと云ふことはない、斯樣な譯でございますから權利即ち「コツプ」を取りたがると云ふのは分らぬ、水を飮む丈なら水を飮む丈で宜しい、「コツプ」を飮むのではない。(拍手)

     △縣債を起して放蕩を勸める[#「縣債を起して放蕩を勸める」に丸傍点]

 先刻申上げました通り栃木縣は山の樹木の拂下を受けた所があるが爲め山が荒れて河川が荒れた、堤防費其他の土木費が足らなくなつて借金をした、縣債を起して百八萬圓借金をしたと云ふ、それが三十七年です、年度を御記憶を願ひたい三十七年です、借金と云ふものは餘る程借りるものではない、百八萬圓の借金をして四十一萬圓と云ふ金をソツクリ取つて置いて三十七年に使はなかつた、是はマア怪しからん、人民は六萬圓以上の利息を拂つて居る、此四十一萬圓の方の利息はどうなつて居るか、一年四十一萬圓と云ふものを遊金にして居る、タツタ百萬圓の借金で四十一萬圓と云ふ遊金がある、其四十一萬圓の遊金を三十八年度に繰上げて之が谷中買收費となつた、さうすると三十八年に買ふべき金を豫め三十七年に準備
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