ならぬことがございますが、實際此谷中村と云ふものを取つて之を貯水池として洪水の時に水を入れて外の村を助けると云ふことが眞面目であるならば、僞りでないならば、何故に土地の地籍を欲しがるか、地籍即ち地面の登録を經て權利を欲しがる、何で土地の權利に必要があるか、人民が是非此土地を買つて呉れろと云ふものがあつたならば之は買つてやつて宜からう、賣るのが厭やだと云ふ者には何も無理に買ふに及ばぬ、借用でも宜からう、又買取りました地面も必要がない時には元との本人に返してやると云ふ證明を渡して宜からうと思ふ、所がそれをなさらずに無暗に地面の權利を登記所を經て取りたがる、道を廣げると云ふには土地に必要がある、川を拵へ狹い所を切り廣めるのには土地に必要があるから之れは土地を取らなければならぬ、貯水地にして中へ水を入れるには土地の必要はない、水を入れゝば足りる、譬を以て云ふのは恐入りますけれども「コツプ」を賣れと云ふ、貴君は何の爲に買ふか、水を飮む爲だ、水を飮むなら貸して上げませう、借りた「コツプ」で水の飮めぬと云ふことはない、谷中村を貯水地にするのは「コツプ」が必要なのでなく中の水が必要なのだから「コツプ」
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