査したことで、之を祕密にして置いて、それから二十八九年の頃よりソロ/\此堤防を水に浸すやうにして置いた、此通り水浸しにされては堪らぬから村では村債を起して借金をして自から堤防を築かうと云ふ考を起させる、之を勸める、それから村々に借金が出來た、其借金の爲に利息を取られる、地價が大概低くなると云ふ歴史を拵へてあつて、卅五年に至て谷中村の堤防が切れた、幸だから此堤防の切れた口を塞がないで置けば人民は困つて來る、田地の直が安くなり地面の直が安くなる、總ての價が下落するから其下落する所を取るが一番宜いと云ふ結果が生じた、是で谷中村の如きは其分捕を將に半分以上實行されて今に其村を奪ひ取られつゝある所でございます、丁度之を旅順港にしましたら最早鷄冠山も松樹山も取られたと云ふ場合か知りませぬ、併ながら人道の職[#「職」に「〔戰〕」の注記]爭はああ云ふ戰爭と違ひますから、且此道に當る有志なるものは、老ひたりと雖もステツセル[#「ステツセル」に傍線]を氣取る積りはありませぬ。(拍手起る)
△コツプを飮むのでは無い[#「コツプを飮むのでは無い」に丸傍点]
序に是非まだ御訴へ申して置かなければ
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