があり衞生に害があると云ふものを金圓を以て扱ひをする。其の扱をする言葉に、又々粉鑛採聚器と云ふ機械を据付けて毒は必ず流さないから是で承知しろ、其代り諸君にも幾らか既往の損害もあることであるから是は不充分ながら取つて呉れろと言ふから、地方の人民は皆な知事の申すことであるから之を信じて、欺かれて幾らかの金を取つた。そうして以來毒は流れて來ぬと云ふことであるから、私共の知事は有難い事であると言つて知事に禮状を發した位である。其の世話役をした縣會議員抔もありますけれども、是は未だ能く鑛毒の事を知らぬのであつた。職のある者が斯う云ふ事をやると云ふは惡るいけれども、是は知らぬでやつたことであるから敢て彼此言ふではございませぬが、知事たる者が内務省の内命を受けるとか何かなければソンな亂暴なことをやるだけの度胸を持つて居るものではございませぬから、即ち議會に於て鑛毒を流さぬと云ふことを二度まで答辯して、それで三度目の答辯が出來ないから、地方の知事を頼んで仲裁したと云ふやうな曖昧した答辯が出た位でございまするが、其時には農科大學の試驗の成績を以て第二囘の質問を致しましたから、鑛毒が無いと云ふことは言へな
前へ
次へ
全44ページ中37ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
田中 正造 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング