のとは其處で分かれる。毒水を被らない方の粉では、團子を拵らへ燒餅を拵らへると云ふことが出來るが、毒水を被つた方のは粉に粘力が無くなつて、團子にも燒餅にもならない。ならなければ之を捨てゝ了はなければならないが、そこが悲しいかな、矢張り味噌汁や何かへぶち込んで蕎麥掻のやうにして喫べる。之を食べるに諸君、毒と云ふ事を知らずして喫べる者が大分あります。中には知つて居ても貧乏に驅られて之を食ふものがある。實にひどい有樣で、其のひどい有樣の御話をするのぢやない、此の毒の這入つた水と這入らない水が此に至つて分れる。又た藁も然うでございます、藁が一杯に腐つて了ふ。此の鑛毒の這入らない藁は肥料になる、鑛毒の水の這入つた藁は肥料にならない。肥料にならないのみならず之を灰に焚いても殆ど番茶の樣なものが出來て少しも灰の樣に見へないのでございます。其の鑛毒と鑛毒で無いと云ふ事は、能く其土地の者は知つて居りますので、是も一々御覽に入れる譯には參りませぬが(此時實物を示す)、唯だ此中で一々御覽に入れるのは忙しうござりますから出來ませぬが、鑛毒の這入つた腐れ藁を焚きますると斯う云ふ灰が出來る。是は一號より二十號まで出
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