軒もる月
樋口一葉
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)良人《をつと》は
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)月|氷《こほ》りて
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「口+耳」、第3水準1−14−94]《さゝや》く
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)折々《をり/\》
−−
「我が良人《をつと》は今宵《こよひ》も帰りのおそくおはしますよ。我が子は早く睡《ねむ》りしに、帰らせ給はゞ興《きよう》なくや思《おぼ》さん。大路《おほぢ》の霜に月|氷《こほ》りて、踏む足いかに冷たからん。炬燵《こたつ》の火もいとよし、酒もあたゝめんばかりなるを。時は今|何時《なんどき》にか、あれ、空に聞ゆるは上野《うへの》の鐘ならん。二ツ三ツ四ツ、八時《はちじ》か、否《いな》、九時《くじ》になりけり。さても遅くおはします事かな、いつも九時のかねは膳の上にて聞き給ふを。それよ、今宵よりは一時《いちじ》づゝの仕事を延ばして、この
次へ
全12ページ中1ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
樋口 一葉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング