と》恋《こひ》しくなると共《とも》に恥《はづ》かしくつゝましく恐《おそ》ろしくかく云《い》はゞ笑《わら》はれんかく振舞《ふるま》はゞ厭《いと》はれんと仮初《かりそめ》の返答《いらへ》さへはか/″\しくは云《い》ひも得《え》せずひねる畳《たゝみ》の塵《ちり》よりぞ山《やま》ともつもる思《おも》ひの数々《かず/\》逢《あ》ひたし見《み》たしなど陽《あら》はに云《い》ひし昨日《きのふ》の心《こゝろ》は浅《あさ》かりける我《わ》が心《こゝろ》我《われ》と咎《とが》むればお隣《となり》とも云《い》はず良様《りやうさま》とも云《い》はず云《い》はねばこそくるしけれ涙《なみだ》しなくばと云《い》ひけんから衣《ごろも》胸《むね》のあたりの燃《も》ゆべく覚《おぼ》えて夜《よる》はすがらに眠《ねむ》られず思《おもひ》に疲《つか》れてとろ/\とすれば夢《ゆめ》にも見《み》ゆる其人《そのひと》の面影《おもかげ》優《やさ》しき手《て》に背《そびら》を撫《な》でつゝ何《なに》を思《おも》ひ給《たま》ふぞとさしのぞかれ君様《きみさま》ゆゑと口元《くちもと》まで現《うつゝ》の折《をり》の心《こゝろ》ならひにいひも出《
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