》がいゝ事《こと》ねへと余念《よねん》なく眺《なが》め入《い》りし後《うしろ》より。中村《なかむら》さんと唐突《だしぬけ》に背中《せなか》たゝかれてオヤと振《ふ》り返《か》へれば束髪《そくはつ》の一|群《むれ》何《なに》と見《み》てかおむつましいことゝ無遠慮《ぶゑんりよ》の一|言《ごん》たれが花《はな》の唇《くちびる》をもれし詞《ことば》か跡《あと》は同音《どうおん》の笑《わら》ひ声《ごゑ》夜風《よかぜ》に残《のこ》して走《はし》り行《ゆ》くを千代《ちい》ちやん彼《あれ》は何《なん》だ学校《がくかう》の御朋友《おともだち》か随分《ずゐぶん》乱暴《らんばう》な連中《れんぢう》だなアとあきれて見送《みおく》る良之助《りやうのすけ》より低頭《うつむ》くお千代《ちよ》は赧然《はなじろ》めり
(中)
昨日《きのふ》は何方《いづかた》に宿《やど》りつる心《こゝろ》とてかはかなく動《うご》き初《そ》めては中々《なか/\》にえも止《と》まらずあやしや迷《まよ》ふぬば玉《たま》の闇《やみ》色《いろ》なき声《こゑ》さへ身《み》にしみて思《おも》ひ出《い》づるに身《み》もふるはれぬ其人《そのひ
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