ひと》が笑《わら》ふぢやアないか。だつてあなたが彼様《あん》なこと許《ばつ》かしおつしやるんだもの。夫《それ》だからあやまつたと云《い》ふぢやないかサア多舌《しやべつ》て居《ゐ》るうちに小間物屋《こまものや》のまへは通《とほ》りこして仕舞《しま》つた。あらマア何《どう》しませうねへ未《ま》だ先《さき》にもありますか知《し》ら。何《どう》だかぞんじませんたつた今《いま》何《なに》も入《い》らないと云《い》つた人《ひと》は何処《どこ》に。最早《もう》それはいひツこなしとゝめるも云《い》ふも一[#(ト)]筋道《すぢみち》横町《よこちやう》の方《かた》に植木《うゑき》は多《おほ》しこちへと招《まね》けば走《はし》りよるぬり下駄《げた》の音《おと》カラコロリ琴《こと》ひく盲女《ごぜ》は今《いま》の世《よ》の朝顔《あさがほ》か露《つゆ》のひぬまのあはれ/\粟《あは》の水飴《みづあめ》めしませとゆるく甘《あま》くいふ隣《となり》にあつ焼《やき》の塩《しほ》せんべいかたきをむねとしたるもをかし。千代《ちい》ちやん鳥渡《ちよつと》見玉《みたま》へ右《みぎ》から二|番目《ばんめ》のを。ハア彼の紅|梅《ばい
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