んにち》に連《つら》ぬる袖《そで》も温《あたゝ》かげに。良《りやう》さんお約束《やくそく》のもの忘《わす》れては否《いや》よ。アヽ大丈夫《だいじやうぶ》忘《わ》すれやアしなひ併《しか》しコーツと何《な》んだツけねへ。あれだものを出《で》かけにもあの位《くらゐ》願《ねが》つておいたのに。さう/\おぼえて居《ゐ》る八百屋《やをや》お七の機関《からくり》が見《み》たいと云《い》つたんだツけ。アラ否《いや》嘘《うそ》ばつかり。それぢやア丹波《たんば》の国《くに》から生捕《いけど》つた荒熊《あらくま》でございの方《はう》か。何《ど》うでもようございますよ妾《わたし》は最早《もう》帰《かへ》りますから。あやまつた/\今《いま》のはみんな嘘《うそ》何《ど》うして中村《なかむら》の令嬢《れいぢやう》千代子君《ちよこくん》とも云《いは》れる人《ひと》がそんな御|注文《ちうもん》をなさらう筈《はず》がない良之助《りやうのすけ》たしかに承《うけたま》はつて参《まゐ》つたものは。ようございます何《なに》も入《い》りません。さう怒《おこ》つてはこまる喧嘩《けんくわ》しながら歩行《あるく》と往来《わうらい》の人《
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