こ》し起《お》きて見《み》る気《き》なら僕《ぼく》に寄《よ》りかゝつて居《ゐ》るがいゝと抱《いだ》き起《おこ》せば居直《ゐなほ》つて。良《りやう》さん学校《がくかう》が御試験中《ごしけんちう》だと申《まを》すではございませんか。アヽ左様《さう》。それに妾《わたし》の処《ところ》へばつかし来《き》て居《ゐ》らしやつてよろしいんですか。そんな事《こと》まで気《き》にするには及《およ》ばない病気《びやうき》の為《ため》にわるいから。だつて何《ど》うもすみませんもの。すむのすまないのとそんなこと気《き》にするより一|日《にち》も早《はや》く癒《よ》くなつて呉《く》れるがいゝ。御親切《ごしんせつ》に有難《ありがた》うございますですが今度《こんど》は所詮《しよせん》癒《なほ》るまいと思《おも》ひます。又《また》馬鹿《ばか》なことを云《い》ふよそんな弱《よは》い気《き》だから病気《びやうき》がいつまでも癒《なほ》りやアしない君《きみ》が心細《こゝろぼそ》ひ事《こと》を云《い》つて見《み》たまへ御父《おとつ》さんやお母《つか》さんがどんなに心配《しんぱい》するか知《し》れません孝行《かう/\》な君《き
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