たけくらべ
樋口一葉
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)燈火《ともしび》うつる
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)霜月|酉《とり》の日
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「髟/兵」、第3水準1−94−27]櫛《びんぐし》
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ちやら/\忙がしげに
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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一
廻れば大門の見返り柳いと長けれど、お齒ぐろ溝に燈火《ともしび》うつる三階の騷ぎも手に取る如く、明けくれなしの車の行來《ゆきゝ》にはかり知られぬ全盛をうらなひて、大音寺前《だいおんじまへ》と名は佛くさけれど、さりとは陽氣の町と住みたる人の申き、三嶋神社《みしまさま》の角をまがりてより是れぞと見ゆる大厦《いへ》もなく、かたぶく軒端の十軒長屋二十軒長や、商ひはかつふつ利かぬ處とて半さしたる雨戸の外に、あやしき形《なり》に紙を切りなして、胡粉ぬりくり彩色のあ
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