が近づいたらしい

残本の多いのに困って居る出版屋
予約者の破約随意で、いずれの出版屋も残本山積である、牛込の何々社では四十万冊に近い残本、芝の何々社では二十幾万冊の残本、何堂は十幾万、何会は無量数万という残本、自社の倉庫に入れ切れないので、婦人雑誌社の倉庫を借りて入れ、高架鉄道の下を借りて入れるなど、其残本の多いのには一同が困って居る、サリトテ別項記事の如く完成するまでの間は、ゾッキ屋に安売りする事も出来ないので、豆袋屋廻し、漉返しの原料等、ツブシにするのもあるが、何にしても資本主義の弊たる大量生産のミジメな標本であり、国産浪費の馬鹿気た厄介物である、本郷の某社ではそれを知るや知らずや、一層カサ高いヤクザ本をやりかけて居るが、今に団子坂から小菅の製紙会社まで続く紙屑車数十百が、蜿蜒と長蛇の列を作るであろうよ

残本が売れず古本が売れない理由
上記の如く残本が売れないのは何が故であるかと云うに、予約というは名のみで、随意に購読中止を申込み得られたので、一二冊又は三四冊で破約した者が多く、其予約者と継続者の過半が、古本として売却せし数が夥しいので、残本(新本)がヨシ安いにしても、既に買入
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