洋紙の浪費と共に、国家の損害亦大なりと云わねばならぬ、此点から見ても、資本主義の大量生産たる円本出版を呪わざるを得ないではないか

一般財界の不景気を助長す
世界大勢の影響と、為政者の政策其よろしきを得ないために、我国財界の不景気は永く続いて居る、明年の春までには回復するだろう、今年の末までには直るだろう、などの説は屡々耳にしたが、一向実現しない、そして此不景気の継続を円本出版屋が助長して居る事実を発見した
資本家ならぬ遣繰屋が経営して居る円本出版屋が多いので、無謀なる大量生産のために事業の困難に陥って居るが多く、何々堂が紙屋に幾万円の負債とか、何々社が印刷屋に幾十万円、何々社が広告取次屋に十幾万円の小切手を渡してあるとか、何々会が製本屋に幾万円の借りがあるなど、其聴いただけを合計しても約四百万円位の不払額になる、これが不景気助長の金融逼塞を甚だしからしめて居るに違いない、厄介至極な者共ではないか、そこで「世直し」のためにも円本出版屋をブッ倒さねばならぬ

一般学者の不平心を醸成す
ロクでもない蚊士とか、無学無識の翻訳者などが、円本の著者訳者として多額の収入を得、所謂印税成金になって、
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