いのに元氣づいてます/\歩く
うしろから何かに押されてゐるやうだ。
ひろい何も生えて居ない畠に出た。
一寸先きへ行くのが淋しい氣がする。
廣い景色が眼に集つて來て
空と大地が自分の體に打ちつけて來て響く
歩き出すと平氣になる
空氣がこゝでは猛烈だ。
偶然大きな男が
向ふ側を一人通るのが目につく
早足でやつて來て大股を踏んで
自分が見ると氣合がかゝつた樣に
その形のまゝ動かない運動が凝固つたやうに
彼は惱んでゐる。大地と格鬪してゐる
地面から足を引き離さうとしてもがいてゐる。
まるで大地から躍り出したやうだ
空中から湧き出したやうだ。
一瞬間さうして動かずに
自分の心が外へ移るともう消えてしまつてゐる
そのあとに穴が明いて空氣が目に見えて濃厚に動いてゐる
まるで温室の中を歩いてゐるやうだ。
自分は羽織をぬいで肩にかけたり、
足袋をぬいで袂に入れてもつと先へ歩いて行く。
景色と一緒にどこまでも歩いて行く
日は未だ永いのだ。
田舍へ田舍へと行く、一人で、
板橋のはづれまで來た。
まるで世界が變つて來る。
道が目に立つてキレイだ。白い
兩側の家が低いので空がよく往來に映るのだ。
小川がある。橋
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