る訳であります。その次には、エの音がア行のエとヤ行のエと分れていたのが混同して一つの音となった為、清音が四十七、濁音を加えれば六十七、それだけの音の区別がある。それの清音四十七が「いろは」によって代表せられるのであります。かような音の変化はいつ頃起ったかと申しますと、無論確かには解りませぬけれども、「エ」の二つの区別のなくなったのは徐々ではありましょうけれども、平安朝に入って百年くらい経てば大抵一緒になった。醍醐《だいご》天皇時代くらいには大抵混同したのではないかと思います。村上天皇の頃には完全に混同してしまっております。すなわち平安朝の初、百年くらいまでは「エ」が二つあって清音四十八で、「天地の詞」によって代表せられる時代であり、その後「エ」が一つになって、清音として四十七となり、伊呂波歌によって代表せられる時代になるのであります。それから平安朝の半過ぎからまた「いろは」の中で「イ」と「ヰ」が同音になり、「エ」と「ヱ」と、「オ」と「ヲ」とも同音になって、四十四だけの音が区別せられるということになります。その時分も濁音はまだ二十あったと思われますから、これを加えて六十四になります。これ
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