ても二つずつの例外が出来るのであります。かように、ケの仮名は例外は少ないのでありますが、そのほかの仮名におきましては、もう少し例外が多いのであります。しかしこれらの仮名が古代の文献に用いられた例は、よほどの数でありまして、殊に「キ」の仮名などは非常に沢山用いられているのでありまして、まだ正確な数は算えませぬけれども、恐らく千以上使われていると思いますが、その中で例外が十まではないのであります。それ位の例外でありますからして、これらの例外があるということは、二類の区別があるということを否定するものではなく、全体としてやはり区別がある、ただどうかして多少|紛《まぎ》れたものがあるというだけのことであろうと思います。その紛れたのは、今我々の見ることの出来る古典においてそうでありましても、あるいはそれは古く起った写し違いというようなものであるかも知れませぬ。これをどういう風に解釈すべきかについては、色々の考え方がありましょうけれども、ともかくも今の所では絶対に例外がないということは出来ない。僅かばかりは例外があるのであります。殊にそれが仮名によって多少程度の差があるのでありまして、オ段の仮名の
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